短期債投資のチャンス

短期債の投資妙味が見込まれています。債券の投資妙味はインカムが主体ですが、値上がりを期待することもできます。

短期債とは

短期債とは償還期間が数か月~5年までと様々な期間を指すことが多いので一概にどれぐらいと表現するのは難しいです。債券は基本的に長く借り入れするものなので、短期は5年未満を示すことが多いと思います。その中で超短期と呼ばれるものは3か月~1年未満を表現することが多いでしょう。

よく米国の経済指標で用いられるものは3か月国債と2年国債です。短期債券と長期債券の長短金利差を図り経済の景気動向を確認しています。その中でも3か月国債は現状の政策金利に近いと言われています。

金利についてもう少し簡単な表現をすると、金利が上がる=債券が売られる。金利が下がる=債券が買われるの関係です。

まだまだ広がる金利差

20/07~23/4 IR BANKより

何の話かと申しますと、長短金利差の逆イールドの件です。

長期の金利は高く、短期の金利は長期より金利は低い(リスクが低い)が一般的ですが、短期の金利の方が高くなってしまう、いわゆる逆イールドが現在発生しています。

お分かりの通り、米国が政策金利を上げ続けていますので短期金利は高くなる傾向で、長期と逆に差異が出てしまう傾向です。

上記の図の通り、まだまだ差異が広がっています。特に3か月と10年とではまだ広がりつつある傾向です。

利上げ停止が上昇サイン

ただし、この傾向は今後変わる可能性が高いです。すでに市場ではあと一回の政策金利の利上げで利上げは停止するとの見方が大半です。

今後は金利差の拡大は止まり、続いて利下げが行われる公算となっています。

すると短期債の金利が下がることになります。前述の逆のことが起きるので短期債が買われる(金利が下がる)というわけです。

金利が下がるということは債券の値上がりを示します。

実情は効果薄?

短期債ETF 

実際のところ短期債の値幅はどの程度なのでしょうか。上図は短期債(1~5年)のETFの価格推移です。

短期の債券なので金利は政策金利に近くなります。時間をかけてジリジリと金利を上下する分では値幅の上下もあまり大きくなりません。近年は早いペースによる利上げでボラティリティが生じました。

この今の大きな動きが今後利下げに転じるので値上がりを期待するものですが、見る限りせいぜい+10%程度でしょうか??

短期ハイイールド債 SJNK

ハイイールドの短期債ではどうでしょうか?こちらも利上げの影響で値下がりがしている状況です。利回りは非常に大きいものになっています(6%程度)。下落の値幅は短期債として同じ程度でしょうか。

ただし、今後の利下げを期待すると債券価格は底堅く利回りが高い資産に成り得る可能性が高いです。

金利と債券価格の傾向

フェデラル・ファンド金利

図は米国FF金利の推移です。22年3月から段階的に金利を上げていった金利推移がはっきりわかります。今は上昇ですが、過去金利を下げた時の状況はどうでしょうか。19年9月以降の傾向がヒントになるかと思います。

短期債ETF

短期債について19年からFF金利の逆の動きをしているのがよくわかります。

ただし、ほかの債券でも同じ傾向があるか確認してみましょう。

長期債券 BLV

長期債については19年以降上昇していますが、22年からではなく、21年を境に下落している傾向です。FF金利はあまり変動がないのに値が動いているのはなぜでしょう?

債券は売買されているのでFF金利だけの影響で値動きがあるわけではありません。値下がるということは売られていると推測できます。ちょうどこの時期はコロナ後回復で株高が意識されていた状況ではないでしょうか?

今後のマクロ状況次第

利下げが行われると、間違いなく債券は上昇するかと思います。ただし、上記から確認すると大きく上昇するものでもないかもしれません。(10%程度?)

もう少し値幅を取りたいと思うと長期債の方が有効といえますが、注意点があるようです。

・今後の株価上昇が意識されるとどちらが投資妙味があるかで値上がりが限定的

・利下げが思うように進まない。時間をかけた利下げの可能性も

しかしながら、政策金利の動きに近い短期債は値幅は大きくなくても素直に値上がりは期待できるものといえます。ハイイールド債も底堅い価格で利回りを取るのにも有効ですね。

ただし、今はなかなかインフレは下がらない状況が懸念です。利下げが思うように進まない状況もよく考慮すべきでしょうか。この辺りは債券のレバレッジ系はちょっと判断が難しいですよね。

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